こんにちは、ぽいふるです。
今日もネット散歩をしてると、こんな記事を見つけました。
6月の国内売上高が、前年比マイナス11.7%と急減したことを受け、ユニクロの今後の成長を疑問視してます。
要約すると、「ユニクロの強みは『安さ』であったが、昨年の商品値上げによってその強みが失われ、競争力がなくなった。『安さ』を売りにしていたブランドが値上げをすることは困難である」と述べられてます。
たしかに、この急減はなんだろうとは思いますね。
ただ、だからと言って6月の業績結果だけをみて、ユニクロが衰退し始めてると、早急に結論付けていいものなのかなと思うんですよ。
ユニクロは本当に売れなくなったのか?
というわけで、ユニクロの今年の業績を前年比した業績推移を見てみました。
国内におけるユニクロの前年比売上業績推移です。
(ファーストリテイリング 2015年8月期(6月度)の売上推移速報より作成)
※直営店舗及び、通信販売を含めた業績の数値です。
これを見ると、2015年度の国内売上は、9月から5月までの9ヶ月間において、3月に若干前年比を下回ったものの、それ以外の8ヶ月間については、前年を上回る売上高を上げており、平均でも前年比プラス11.9%で推移しています。
客数については、確かに昨年の値上げ以降、前年比でみると、全体的に若干の減少を示していますが、それでも平均すれば前年比97%以上を維持しているので、この客数減少は想定の範囲内だと思います。
逆に、客数が減少したにもかかわらず、売り上げが伸びているのは、客単価の増加が起因しています。
客単価は通算では前年比108.3%で伸びており、これには値上げの効果が大きく寄与していると考えられるでしょう。
とするならば、果たして「値上げ」を実施したことに対して、たった1ヶ月の売上減少だけを見て、言及するのはいかがなものかと思うわけです。
平均気温と売上推移の比較
ユニクロが発表した6月の売上低下原因によると、
6月は気温が例年に比べ低かったことから、夏物実需商品が苦戦し、既存店売上高は前年を下回りました。
とあります。
これに対しても、気温が低かったことは表面的なことに過ぎず、値上げによってユニクロに「安さ」を求めていた人が離れてしまったという意見も見受けられましたが、はたしてどうなのか。
というわけで、過去5年間における、東京の6月の平均気温と、ユニクロの6月売上前年比を並べてみました。
(参考:気象庁|過去の気象データ検索及び国内ユニクロ売上情報より作成)
と、この表を見てみると、2012年のように気温が低い年は、売上が前年比で減少しています。
5年以上遡ってもみましたが、販促効果等で業績を伸ばしている年もありますが、気温が低かったり、台風や梅雨の影響を受けた年は比較的業績が伸び悩んでいることがわかりました。
確かに前年比80%代で推移している年は、ユニクロが初の減収減益となった2002年の74.7%まで13年ほど遡らなければありませんでしたが、だからと言って、今回の売上業績減少が、気温の影響ではなく、値上げが根源だと結論づけるのは早急な気がしますね。
昔、ユニクロを運営するファーストリテイリング社長、柳井正さんが、村上龍氏が司会を務める「カンブリア宮殿」に出演された際、2002年の初の減収減益となった当時の心境を尋ねられ、
「ほっとした。むしろ良いことだなと思いました。減収減益だから心配されたでしょうと、よく言われるが、全く心配しなかった。なぜなら、自分たちは2年間で1,000億、4,000億を達成した実績があるので、少々の減収減益だと十分耐えられる。売上が半分になっても耐えられると思っていた」
と語っていました。
そのことを考えれば、今回は13年前と状況は異なるとしても、これまでの技術開発及び売上拡大の実績をふまえて、不安を持つことなく、たんたんと未来を見据えておられるように思います。
もちろん危機感を持つことは重要だと思いますし、今回の売上急減についても、しっかりと状況把握をする必要はあるでしょう。ですが、目前の変化だけで、物事を判断していくのではなく、色々な角度からその事象をとらえていくことが大切なんじゃないかと思います。
攻めの姿勢を崩さないファーストリテイリング
ユニクロの決算サマリーを見ると、
■2015年8月期の業績予想:過去最高の業績を予想
2015年8月期の連結業績予想は、売上高1兆6,500億円、前期比19.3%増、営業利益2,000億円、同53.4%増、税引前利益2,115億円、同56.1%増、親会社の所有者に帰属する当期利益1,200億円、同61.0%増、基本的1株当たり当期利益は1,177.41円を見込んでおります。
とあり、国内業績のみではなく、アジアを中心とする海外業績の好調、関連ブランド・ジーユーが好調であることも発表されています。(もちろん発表を鵜呑みにしすぎてもいけないとは思いますが)
現在、ユニクロはグローバル展開を目指し、急ピッチで海外出店を進めてるようです。
国内需要はどれだけ伸ばそうとしても、すでに飽和しており限界があるので、まだまだ成長の見込みがある海外、特にアジア諸国への出店をすすめ、成長とブランド強化を狙っているのでしょう。
「安さ」が売りと言われていたユニクロは、数年前から「安さ脱却宣言」をしており、「ユニクロは安いをやめました」(みたいな感じだったと思う)というポスターが店内にかかげてられていました。
そして、安いブランドというイメージを払拭するために、広告宣伝や、ユニクロよりも安い商品群を扱うジーユーを立ち上げ、展開することにより、相対的にユニクロのブランドイメージを高めています。
成長を疑問視することも一つの視点として大切だと思いますが、国内から海外へ進出し、さらに拡大を目指している企業に対し、その取組みの姿勢から学べることは多くあるように思います。
ベンチャーではたらく僕も、この果敢な姿勢を見習いたいと思う今日この頃です。
今後の展開に注目していきたいですね。
ではっ!