どうも、ぽいふるです。
今日も仕事中ネットサーフィンをしていると、こんな記事を見かけました。
またまたユニクロへの懸念記事ですね。
内容としては、タイトル通り、最高益を達成したものの、幾つかの懸念材料からユニクロの今後の成長予想を疑問視した内容となっています。内容としては、端的にまとまっていてわかりやすかったです。
やっぱりユニクロの動向については、多くのビジネスマンや投資家の方からも注目が集まってますね。特に、ファストリは8月決算だったので、この時期には注目が尚更集まるんでしょう。
個人的には、もともとユニクロのヘビーユーザーであり、最近はオンラインストアでも商品を買っちゃったりと、ユニクロについてはビジネスという側面だけでなく、一カスタマーとして日々チェックしてます。
というわけで、今回はユニクロの最近の動向と今後のアメリカ戦略について考察してみたいと思います。(できるかわからんけど)
ユニクロが過去最高売上・利益を更新したのに株価が急落?!
ファーストリテイリングが10月8日に発表した2015年8月期の連結決算の結果は、売上高1兆6817億円(前期比21%増)、営業利益1644億円(前期比26%増)となり、売上高・営業利益ともに過去最高記録を更新しました。
これだけ見ると、「すげー!過去最高をまた更新じゃん!」ってなるんですけど、実際に株式市場の動きを見ると、驚きの変化が……
結論から言うと、株価はめちゃくちゃ下落してしまいました。
実際にまとめてみると、
(株式市場データより筆者作成)
グラフで見ると、その急落は明らか。
(株式市場データより筆者作成)
この決算発表を受けて、翌日の株価は一時10%以上の下落率となり、時価総額は5,000億円も下落してしまいました。
「え?過去最高売上高と過去最高営業利益を達成したにもかかわらず、何でこんなに株価が下落してしまったの?!」と疑問に思われる方もいるでしょう。
これは、市場の期待していた予想を下回ったことによる、失望売りが続出したことによるものです。
では、市場の期待外れだったこととは何だったのか?
それは、営業利益が以前に報告されていた会社予想よりも、350億円も下回ったことが原因です。
過去最高売上高と最高益を上げたにもかかわらず、これだけバッシングされるって……。逆にそれだけファーストリテイリングへの皆んなの期待がめちゃくちゃ大きい証拠だとも言えますね。
では、そもそもの原因ですが、なぜ営業利益が予想値よりも350億円も下回ってしまったのか?それを考える必要があります。
なぜ営業利益が予想よりも下回ってしまったのか?
営業利益が会社予測より350億円も下回ってしまった理由は、国内・海外事業・グループ事業などさまざまな要因がありますが、大きな原因として挙げられるのは2つ考えられます。
1.国内店舗の売上が夏以降の成長鈍化により予想を下回った為
2.アメリカでの赤字幅が想定を超えていた為
まず、1つ目の理由の国内事業の成長失速ですが、これは夏以降の低気温によるところが大きく、国内事業だけで利益予想が100億円も下回ってしまったことが大きく影響しています。
国内の動向については、以前に書いた記事をご参考にしていただければと思います。
ユニクロの国内の業績動向について、僕なりにまとめています。
この記事もかなりアクセスいただいてます。ありがとうございます。(うれちー!)
そして、今回言及していきたいのは、2つ目の理由である「米国での赤字幅が想定を超えていた」ということです。
現在ファーストリテイリングは、全社的に海外展開を事業の中心へとシフトしています。そのメインとなるマーケットは、中国・韓国などのアジア圏で、アジアの市場では順調に店舗数と売上を拡大させています。
例えば、中国・香港・台湾の3地域を総称した「グレーターチャイナ」では、年間100店舗の出店で急成長を続けており、売上は3,000億円を超え、総店舗数は467店舗と成っています。(2015年8月時点)これは、売上高では前期比46.3%、営業利益では前期比66.1%と非常に高い成長率で推移しています。また、韓国でも売上高は1,000億円を突破しています。
つまり、アジア圏内での展開は順調に拡大を進めていると言えるでしょう。
その一方でつまづいているのが、アメリカ展開戦略です。
アメリカのファッション市場は、世界でも最大規模を誇るマーケットであり、海外展開をしているアパレルブランドとして業界シェアを取っていくためには、米国市場の開拓が必要不可欠と考えられています。実際にユニクロの柳井正会長も米国市場を最優先課題であると述べています。
実際に、2014年度には18店舗、2015年度には17店舗と出店を進めており、ニューヨークタイムズに数回にわたりブランディング広告を掲載するなど、アメリカでの認知度向上とブランディング化、そして黒字化を急ピッチで展開を図っていることがわかります。
ですが、その努力とは裏腹に、アメリカ店舗は33億円の赤字となり、2012年に買収した高級ジーンズの「Jブランド」も55億円の減損を計上してしまいました。合計でいえば、約100億円近い損失となります。
この赤字幅は、株式市場だけでなく、ファーストリテイリング社内でも想定以上のものだったらしく、打開策を打ち出すことが急務となっているようです。
米国ユニクロ事業の今後の施策
実際に、発表された決算報告の「今後の展望」の資料の中で、米国ユニクロ事業の課題及び今後の展開についてまとめられています。
米国ユニクロ事業の課題ですが、黒字転換に向けた対策として、米国市場を最優先として、全社をあげて事業をサポートしていきたいと思います。
まず、ユニクロオペレーションに精通した経営者が赴任し、現地で陣頭指揮をとり、経営および、店舗オペレーションを抜本的に改革していきたいと思います。
また、米国市場での新しいマーケティングを開始しております。この秋から、クリエーティブディレクターのJohn Jayによる新聞広告を実施しました。
10月23日オープン予定のシカゴ旗艦店により、ユニクロブランドのさらなる向上を図ってまいります。
スクラップ&ビルドにより採算改善をめざすと当時に、年間の出店数を抑制すると同時に、大都市の好立地に大型店・旗艦店を出店していきます。
また、好調なEコマース事業の商品構成を抜本的に見直し、売上を大幅に引き上げたいと思います。
この中で特に大きな対策としては、
1.現地経営者変更による経営・店舗オペレーションの改革
2.出店数を抑制し、スクラップ&ビルドで採算を改善し、大都市に旗艦店を出店する
3.インターネット通販へのテコ入れ
が挙げられますね。
経営者の変更では、日本国内を含む世界各国から精鋭部隊を送り込むことになっているそうです。
経営が変われば、現場が変わる。ただし、アメリカのマーケットと日本では、経営もマーケティングもやり方は異なることが多いでしょうから、どのように抜本的な改革を進められるのか、今後の動向に期待を持ちたいですね。
そして、二つ目の出店戦略の見直し。
これは効果があると思えますね。下手に数だけ増やすよりか、現在の出店店舗の状況把握と現場改善を推し進めることは急務でしょう。
ちなみに、今ユニクロはアメリカのどの辺りに店舗を出店しているんでしょうか。
それも気になったんで調べてみました。
下記にグーグルマップで調べたアメリカ店舗を貼っています。
アメリカ国内全体→Google マップ
東海岸店舗拡大→Google マップ
西海岸店舗拡大→Google マップ
さらに、アメリカ国内での店舗一覧がありましたのでこちらもご参考までに。
現在北米で展開されている店舗は、合計42店舗(2015年8月時点)。そして、それらの店舗は、ニューヨーク・ニュージャージー近辺の東海岸かカリフォルニア近辺の西海岸かどちらかに位置しています。
つまり、大都市圏内に集中した出店戦略をとっているということですね。
これはブランドのブランディング戦略として王道のやり方なんでしょうが、ただ土地代も超高い立地戦略は諸刃の剣。競合もひしめき合う中で、減損を覚悟で長期戦略が強いられ、資本の持続力勝負の部分も大きいでしょう。
現在黒字転換に向けた課題と施策が打ち出されていますが、正直まだ厳しい戦いは続くように見えます。
3つ目のインターネット通販の強化も、ユニクロは大分他社に比べて遅れていたように思います。アメリカはネット通販大国。ある意味、この部分の強化が、一番効果を発揮しやすいのかもしれないんじゃないかとも考えられます。
日本アパレルブランドのアメリカ進出は難しいのか
そもそも、アメリカという市場に日本企業が展開するということは、どの業界でも非常に難しいことではあると思います。しかし、中でもアパレル業界で日本からアメリカ進出をするということは、非常に難しく、日本アパレルブランドの祈願でもあるように思います。
さらに、アメリカ市場というのは、ある意味でヨーロッパを除く海外アパレルブランドの進出が比較的困難というか、ある意味閉鎖的な感じもなくはないのかも。これは閉鎖的という言葉があってるかわかりませんが、マーケットとして海外ブランドを受け入れる敷居が高いような気もしなくもありません。
例えば、この記事。ZARAはスペインからグローバルに進出し、もはや世界トップのアパレルブランドであり、創業者であるマンシオ・オルテガ氏は世界長者番付で一時2位を獲るほどのモンスター企業へと成長していますが、それでもアメリカでの店舗数はH&Mなどヨーロッパ勢に負けているのが現状です。
このことからも、ヨーロッパを除く他国からのアメリカ進出はなかなかに手強いものだと考えられます。
ユニクロは、最近どんどんと新たなコラボレーションコレクションを発表しています。
例えば、この前紹介した「ルメール」とのコラボもそうですし、「カリーヌ・ロワトフェルド」とのコラボもその一つ。
これは、日本国内向けというよりかは、明らかに海外展開を見越したコレクションだと言えるでしょう。(だって日本国内の販売店舗はめちゃ少ない)
これを考えても、ユニクロの現在のアメリカでのブランディング及び販売戦略は、あくまでアメリカのブランディング手法に則って動いているように思います。でも、数あるアメリカブランドの競合の中で、そのやり方が果たして地盤作り、そして成長をもたらすことが可能なのか。確かにそこは、若干考えないといけないところじゃないかと思います。
別業界での話ですが、韓国では音楽業界に国をあげて力を入れており、さまざまなアーティストや少女時代などのアイドルグループを作っては、アメリカへ進出させていました。彼ら彼女らは、アメリカ人にも劣らない美貌と歌唱力、ダンスで競争し、市場シェアの開拓をすすめましたが、実際にアメリカで成功したケースはほとんどありませんでした。
そんな中で、一人のアーティストがアメリカで爆発的にヒットを遂げました。
それが、日本でも有名な“psy”です。
何かの記事で読んだことがあるんですが、彼が成功した大きな理由の一つとして、「アメリカ人と同じ土俵で勝負せず、アメリカ人がイメージするアジア人らしさをそのままアピールしたこと」が挙げられていました。確かに、それは一理あると思います。
だからと言って、ユニクロも同じようにアジア色を出せって言ってるわけではないんですが、同じ土俵で勝負をせずとも、別の全く異なる角度からその市場を席巻していくことは可能なのではないか、と思うんです。
そう考えれば、米国でのユニクロ事業の展開は今後もいろいろと面白い施策が期待できそうです。
もちろんユニクロの超優秀な上層部が日々試行錯誤されているのでしょうから、僕がとやかく言うことではありませんが、一ユニクロユーザーとしては、ぜひ全世界に展開を進めていってもらいたいなと応援しています。
まだ話の途中なような感じもありますが、長くなってきたので、この辺で今回は筆(キーボード)を置こうかと思います。
ここまで拙い文にもかかわらず、読んでくださった方、ありがとうございます。
ユニクロの今後の海外展開に期待していきたいですね。
ではっ!
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